DIAN-J家族会議2018

2018年9月16日(日)・17日(月)に東京お台場のグランドニッコー東京台場におきまして、「DIAN-J家族会議2018」を開催いたしました。

グローバル家族会議は、AAIC(国際アルツハイマー病会議)のサテライト会議として発足し、現在も毎年継続されております。日本での家族会議は、米国Bateman教授による強い御指導を受け、2017年から開催させて頂いております。グローバル家族会議(DIAD Family Conference: 優性遺伝性アルツハイマー病患者、家族会議)に参加された御家族と同じく、第2回となる東京での会議では、全国から参加された御家族同志の同窓会のような雰囲気で、おたがいに心をオープンにしてじっくりと話し合いをされておりましたのが印象的です。

家族会議でのご来賓として御臨席をいただきました厚生労働省・老健局の田中室長 (写真1)から本会議の趣旨への全面的な賛同と激励の御言葉をいただきました。なにより厚生労働省から暖かいお気持ちを御伝え頂いた事は、御家族にとっても一筋の光になったのでは無いかと感謝する次第です。交流会の最後まで、一人一人の御家族の窮状、苦しみに積極的に耳を傾けられておられた姿は、御家族だけで無く、DIAN-J研究者一同真剣な眼差しで会議をより有意義な集まりとして取り組まれて頂いたように感じました。

写真1:ご挨拶(厚生労働省 田中規倫・室長)
厚生労働省として、患者、家族を支援する、本家族会議の意義は高く評価したい、との御激励と祝辞を頂きました。

写真2:DIAN-J家族会議2019資料冊子

会議のプログラムは、別添えの資料(写真2)にありますが、東海林先生による開会挨拶の後(写真3)、ベイトマン教授によるビデオメッセージ(写真4)が日本語字幕訳付きで、遺伝性アルツハイマー病から子どもを守る医療について熱く発表されました。

写真3:東海林幹夫教授(弘前大学、DIAN-J研究臨床コア)から「ようこそDIAN-Japan家族会議2018へ」と題する講演で、グローバル家族会議の紹介を兼ね、家族会議開催の挨拶をされた。

写真4:グローバルDIAN研究の最高責任者である米国ワシントン大学のベイトマン教授によるビデオメッセージが紹介されました。

実質的な会議は、川勝忍教授(福島県立医科大学)が日本国内の優性遺伝性アルツハイマー病患者数について推計された後、この病気への臨床研究(DIAN-J研究)の取り組みについて、分かりやすく解説されました。

ついで、2018年に日本でのDIAN-J-TU(新薬治験)の実際の進行状況について、DIAN-TUチームを代表して嶋田裕之先生(大阪市立大学)から報告されました。残念ながら、予定していた認知症新薬は肝障害を引き起こすという副作用のために、実施が延期となりましたが、米国ワシントン大学では、日本での実施を現在検討しているところです。

この他、グローバル家族会議では、具体的な企業名と新薬名(コード名)の治験結果についても紹介されますが、日本の法律では治験内容の具体的薬剤名の紹介あるいは解説は厳密にコントロールされているので、本会議での説明では、具体的名称は伏せられた状態での説明となっております。それでも、新薬開発状況の概略を知ることが出来る点で、最先端医療情報に触れる、知る機会となったと思われます。

写真5:家族会議風景(参加者から、素朴で且つ心にしみる質問が寄せられた)

御家族からの報告や発表について、この場で仔細を活字化することは差し控えますが、DIAN-J研究者、来賓、御家族、医師の区別無く、涙腺を刺激する話に一同聞き入りました。御家族の発表の一人は、発表しながら感極わまれた事から、言葉に詰まることも有り、言葉が無くても参加者一同の思いは病気克服に向かって一丸となって理解できておりますし、一緒に挑戦していくことを共有できたと思います。

第1部の終了の前に、日本認知症学会・秋山治彦理事長から本家族会議について総括を頂き、新オレンジプランの精神の中心的活動として高く評価して下さいました。さいごに、認知症の人と家族の会・鈴木森夫代表理事からは家族を支援し、寄り添い、守る事への理解と配慮を医師、研究者、そして行政に強く期待され、本会議のような活動が先端医学研究と同期して進んでいる事への感謝と一刻も早い新薬開発を待ち望む家族の声を代弁されました。

第2部では、鈴木一詩先生 (東京大学医学部)から、ご挨拶があり、DIAN-J家族会議の意義、そして交流会について丁寧にお考えを紹介していただき、同時に活動の意義と方向性の抱負を発表されました。

日本国内だけではなく、米国でも同じくDIAD家族間交流が滅多にないことから、本家族会議は、お互いを励ます意味でも、孤立感を和らげる意味でも大きな意義があると思われました。ご家族同士、家族と医師との交流、意見交換が夜遅くまで熱心におこなわれ、前回同様に終了予定時間をオーバーすることとなり、惜しむ雰囲気で終了宣言がおこなわれました。

写真6:会場の外でのスナップ

会議の準備、運営、そして会費処理など大切な裏方仕事をして頂いているスタッフの打ち合わせ風景です。

最後に、開催にあたりましては、DIAN-Jとエーザイ社の共催をベースに、GEヘルスケアジャパン、富士フイルムRIファーマ、ヤンセンファーマ、ツムラ、ノバルティスファーマ、免疫生物研究所各社から温かな協賛支援をいただくことができましたことより、無事開催にこぎ着け大きな成果実績となりました。此処に記して心からの感謝を申し上げます。

平成30年10月1日 森 啓(文責)